違う角度から価値観を考える

みんな、毎日生きていくのが結構大変で、目の前のことで精一杯で、だから、今までずっとやってきたことや考えてきたことの通りに、毎日を過ごしてしまうことも多い。でも、ほんのたまには、今やっていること、今からやろうとしていることについて、違う角度から考えてみるのもいいと思う。

例えば、本当に30年ローンの家を持ち続けるのがいいのかとか、偏差値の高い日本の大学を目指すのがいいのだろうかとか、新しい携帯電話を買ったほうがいいのかとか。あるいは、本当に自分は新しい携帯電話がほしいのだろうか、それは、自分がほしいのではなくて、誰かや何かにほしいと思わされているだけなのではないか、とかだ。

ある人が、50インチの大型のテレビとブルーレイプレーヤーを買って、それに加えて、全てのテレビ番組が録画できるレコーダーも購入したとする。でも、それらを手に入れるために、会社で残業して、お金を貯めた。そうすると、せっかく全てのテレビ番組を録画して、しかも、高画質の映画を大きな画面で観られるようになったのに、観る時間がない、ということにもなりかねない。それなら最初から残業せずに、流れてくる好きなテレビ番組を放送時間に観ればいい、ということにもなるだろう。

また、スマートフォンを買っても、それを使って何をするのか。中には、仕事の効率が上がったり、人とのコミュニケーションがスムーズになったり、必要な情報が簡単に手に入ったりする人もいるだろう。でも、スマートフォンを使ってそれまでにやらなかったことをやることで、かえって他の時間がなくなって忙しく感じるようになった、という人もいるかもしれない。

「いやいや、そういうことではないんだよ。単にテレビで高画質の番組や映画を観るためだけにテレビやプレーヤーを買うのでもなくて、仕事や生活に役立てるためにスマートフォンを買うのでもないんだ。家に帰れば高画質の映画が観られる、スマートフォンを持っていれば、いつでも情報を手に入れて人とコミュニケーションができる。そういう、いわば安心や優越感も同時に手に入れているんだ。」と仰る方もいるだろう。

確かに、お金を出してものやサービスを買うときには、単にそのものやサービスだけではなく、それを手に入れることによる自分の感情も買っている。その感情は、安心だったり、優越感だったり、ちょっとしたいい気分だったりする。そして、それらの感情を手に入れることが重要なことも多い。

でも、ものやサービスにプラスしてそんな自分の感情を手に入れるために、どれだけの自分の時間を使い、我慢をして、体力や精神力をすり減らしているのだろうか。手に入れるものとそれに対して差し出すものは、十分につりあっているのだろうか。

ものすごく面倒くさいことだけれど、たまにはこんなことも考えてみてもいいかもしれない。

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