がんばらなくてもいい
留学生と話をしていると、たまに、「これから私、がんばります。」と学生が言う。そんな時、「そんなにがんばらなくてもいいよ。適当にふにゃふにゃとやっていればいいよ。」と言う。それを聞いて、留学生は一瞬びっくりした顔をするが、その後ほっとした笑顔になることが多い。
せっかくがんばろうとしている人に、がんばらなくてもいいと言うなんて、何事だ、けしからん、と仰る方もいるだろう。確かに、今まで何もしてこなかった人が一大決心をしてがんばろうと言っている時に、そんなことしなくてもいいと言うのは、出ばなをくじくことにもなるだろう。
でも、ニュージーランドに滞在している留学生はみな、そこまでにすでによくがんばってきている。留学を考え、留学に来ることを決心して、そして一人で飛行機に乗ってやってきて、初めて会う人の家に、しかも言葉も文化も違う人の家にステイして、一人で学校に行き、英語やその他の教科を勉強し、慣れない食事を食べ、時には理解できない文化の中で生活をし、そして今までにやってきた通りの行動や言動が周りの人に理解されない環境で、ずっと生活をしてきている。
そんな留学生達が、がんばります、と言うときは相当な覚悟とエネルギーを持って言っている。時には、その人のキャパシティーを超えていることもあるだろう。でも、留学を続けている限り、がんばり続けなければならない。留学生が、がんばります、というのは、今の留学生活をそのまま続けていきます、という意味だ。逃げないで、一日一日やるべきことをきっちりとやり続けます、ということだ。留学中は、生活そのものを淡々と続けること自体にエネルギーが要る。つまり、普段の生活をするという行為自体が、がんばる対象となっている。
人間、ずっとがんばり続けることは難しい。どこかでほっと一息抜かないと続けられない。だから、朝起きて、朝食を食べて、学校に行き、授業を受けて、帰ってきて、ホストファミリーと話をして、夕食を食べて寝る、ということをずっとがんばってやっている留学生には、どこかでちょっと息を抜いてもいいのですよ、ということを伝えるために、がんばらなくてもいい、と言う。
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