留学は経験だ

今はインターネットでいろんな国の人たちとコミュニケーションが取れる。日本の自宅の自分の部屋にいながら、地球の裏側に住んでいる人たちの様子が動画で、しかもライブで見られるし、双方向の話もできる。

だから英語を勉強しようと思ったら、インターネットがあれば、かなり英語力を伸ばすことが可能だと思う。また、ニュージーランドの文化や情報を知ろうと思ったら、動画やSNSを通して簡単に知ることができるだろう。

そう考えると、わざわざ日本を離れて留学する必要はないと思うかもしれない。

でも、自宅にいながらインターネットでする英語の勉強や、インターネットの動画などから情報を得ることと、実際に日本を離れて留学をするのは、決定的な大きな違いがある。

それは留学は経験だということだ。

経験とは、今までに会ったことがない人と会って、いろんな人といろんなことを話して、今までと違う場所で寝泊りし、異なる生活習慣を持った人の中で暮らし、いろんな場所に行き、いろんなことを感じ、いろんなことを考え、時には失望し、時には我慢をし、時には自分の成長を実感し、時には人のぬくもりを感じることだ。

経験は頭だけで考え感じることではなくて、目で見て、耳で聞いて、匂いをかいで、肌で感じ、筋肉を使って感じることだ。誰かがフルマラソンを走りながら頭につけたカメラで流している風景をずっと見ていても、フルマラソンを経験したことにはならない。いくらフルマラソンを走った人の話を聞いても、フルマラソンを経験することはできない。実際に走らなければわからない、感じることができない、考えることができないことがある。

経験は、場所の移動や、時間や、エネルギーの消費を伴う。そして経験は人を変える力を持つ。

経験によって培われた力は大きい。空間を移動し、時間を使い、エネルギーを消費して、五感で感じ、深く考えることで、人は成長する。

留学は経験だ。留学に行くこと、留学中に滞在する場所、出会う人、話すこと、聞くこと、肌で感じること、考えること、希望、期待、失望、悩み、焦燥、喜び、悲しみなど、全てが経験だ。それをするため、それを感じるため、それを考えるために留学に来るのだ、と思う。

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