子どものイベント
昨年リニューアルオープンした大阪の百貨店のこども服フロアに、子どもがお菓子作りを体験できるスタジオを持つお菓子屋さんがある。そのスタジオでは、3歳から12歳を対象としたお菓子作りのレッスンがほぼ毎日数回行われている。
完全予約制で、まず子ども達は靴を脱いでキッチンに上がり、エプロンとコック帽を係りの人に着せてもらい、手をしっかりと洗うところからレッスンは始まる。レッスン中はパティシエの格好をしたお姉さんがずっとつきっきりで作り方を教えてくれる。
例えば最初に、伸ばした大きめの四角形のクッキーの生地をハートの形に4つに切り抜く作業を、係りのお姉さんがやって見せてくれた後、子ども達は同じ形の生地を同じ道具を使って全く同じように切り抜く。下は3歳の子もいるので、うまく行かないこともあるのだが、そんな時は係りのお姉さんが丁寧に教えてくれる。切り抜いたハートの生地は、後ろのオーブンで焼いてくれる。そして残った生地は4つに分けて丸めて小さなコンテナに入れ、くるくると回しながらチョコレートの粉を全体にまぶしてトリュフチョコを作るのだが、これも最初にお姉さんがゆっくりとやって見せてくれて、子ども達は同じようにコンテナの中のチョコをくるくると回す。
そしてレッスンの最後には、どの子も同じクッキーとトリュフチョコができあがる。焼けたハート型クッキーとトリュフチョコレート、そしてコック帽は、40分ほどのレッスンの後、家に持って帰ることができて、料金は2,730円だ。もちろん、クッキーとチョコはかわいい入れ物に入れて、さらにきれいな紙袋に入れてくれる。
先日ロトルアのDIYショップでは、DIY for Kids と題したイベントが行われた。その大型DIYショップの建物の中にもDIYレッスンコーナーがあるのだが、当日は外の駐車場の一角に大きめのテントを張ってイベントが行われた。
予約など要らない。10時からと書いてあるにもかかわらず、10時半を過ぎても少しずつ子ども達がやってくる。そして子どもがテントにきたら、担当のお姉さんが、「こんにちは。ここにある道具と材料を使って、自由にコースターを作ってください。」と一言伝え、「エプロンはそこにあるので使いたい人は使ってください。」と言うだけだ。
どの子どもも、「オーケー、わかった。」と言って、自分でエプロンをつけて、机の上の道具や材料を好きなようにどんどん使って、コースターを作っていく。小さい子どもがいれば、少し年上の子どもが横から教えてあげたり、係りのお姉さんに代わりに質問してあげたりする。当日は一応「モザイククラフト」を作るというタイトルがついていたのだが、子ども達が作るコースターは、ペイントだけのものもあるし、紙を切って貼り付けただけのものもある。モザイクというイベントのタイトルには全く関係なく、みんな好きなものを作る。
出来上がったコースターは家に持って帰れるのだが、のりやペイントが乾いていないのでしばらく預かってくれる。担当のお姉さんは、みんなから預かったコースターを、DIYの道具が入っていた足元の段ボール箱に入れていた。子ども達が後で取りにきたら、「これが君のだったっけ?」といろいろとコースターを出して、「違うよ、僕のはその横にある黄色いやつだ。」などという会話が交わされていた。
このイベント、人によっては15分、別の子どもは30分くらいじっくりと時間をかけて作っていた。料金は無料だ。
日本は百貨店、ロトルアはDIYショップという場所の特殊性や、イベントの目的、内容も大きく異なるので単純に比較はできないけれど、こうして日本とニュージーランドの子ども用のイベントを比べてみるとおもしろい。
日本の子ども用レッスンスタジオは、すごくよくオーガナイズされていて、誰もが満足できる内容だろう。また、丁寧に係りの人が教えてくれるので、小さな子どもでも安心して参加できる。一方ニュージーランドのDIYのイベントは、DIYだけあって自分で何でもすることが前提だ。そして子ども達はみんな自分で自由に作る。聞きたいことがあれば係りのお姉さんに聞く子もいるし、集中して一人で最後まで仕上げる子どももいる。そして出来上がった作品もいろいろだ。
どちらがいい、ということではなく、子ども用のイベントでも、日本とニュージーランドでは、基本の考え方が異なるように思う。日本はしっかりとオーガナイズして、計画通りに、時間内に、みんな同じものを作る。一方ニュージーランドは、自由に、自分の好きなものを作る。
もしできるのならば、中学生くらいまでの間に、日本だけではなく、海外の子どものイベントに現地の子どもと一緒に参加してみる、というのも、子どもにとっても親にとってもいい経験になるだろう。
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