ニュージーランドには、羊がたくさんいる。牛もいる。だから、虫も必然的にたくさんいる。

私の家にも、蜘蛛やハエや蚊といった虫たちがたくさん同居しているので、とてもにぎやかだ。子供の頃に読んだ漫画の中に、上から蜘蛛が糸を伝って顔の前に下りてきて、それを見た主人公の男の子が「ギャー」っと叫ぶ、というシーンがあった。読んだときは、蜘蛛が上から糸を伝って下りてくるなんて漫画の中だけの話だ、と思っていたのだが、ニュージーランドでは、現在の日常の中に漫画の一コマが挿入されている。

その上私はあまり虫が好きではない。でも虫たちはどうも私のことが気に入っているようだ。何人かの人と一緒にいて虫が一匹そこに紛れ込んできても、虫は必ず私のところに寄ってくる。なぜ彼らにそんなにも好かれるのかわからない。

大人になるまで日本で暮らしていた私としては、ふと見ると部屋の隅に蜘蛛がいるという風景には、最初は違和感がかなりあった。最近は虫よけのスプレーを部屋に置いているお宅も多いが、でも、ニュージーランドの多くのお宅では、蜘蛛もハエも一緒に暮らしているところもまだまだ多い。

考えてみると、大自然に囲まれて、羊や牛や馬が人口よりもたくさんいるような国で、人間の家の中だけは人以外生き物がいない、というのも変な話だ。大自然に囲まれた中で、壁を作って無菌状態で暮らしているようなもので、それは逆に不自然だ。

日本では、家の中で蜘蛛を見かけることは、まだあるのだろうか?

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