つながるのを止めてみる
今、高校留学生を初め多くの人にとって普段の生活で一番の問題は、スマホで常に誰かとつながっていることだ、と言えば、多くの方は同意してくださると思う。
授業中や仕事中はともかく、ちょっと時間が空けばスマホを取り出して、フェイスブックやLINEのアプリをタップして、誰かの投稿に「いいね!」をしたり、届いたメッセージに返信をしたりする。最初はなんだか楽しくてやっているけれど、続けているうちに煩わしく感じて、次第に何かに追われるようになって、行きすぎると日常生活に支障をきたすようにまでなってくる。まさに中毒だ。
先日どこかのサイトで紹介されていたけれど、スマホがつながらない場所でゆっくりと過ごす「圏外旅行」が静かなブームだそうだ。携帯電話やWifiがつながらない場所に行ってのんびりと過ごすことが目的なので、船に乗って行く離島などが主な目的地になっているようだ。そして「圏外旅行」中は、スマホを見ずにいつもと違う生活をする。それによって、「SNS疲れ」を起こしている人が、「デジタルデトックス(デジタル環境からの解毒)」できるとのことだ。
こんな旅行が話題になるくらい、大人も子どももいつも誰かとスマホでつながっている。でも「そんな生活止めたい」と感じていても止められない人も多い。いいか悪いかと言えば、決して「いい」とは言えないだろう。
「圏外旅行」も一つの方法だけれど、離島への旅行などせいぜい一年に数日しかできないことを考えると、一般的な方法ではない。旅行で「デジタルデトックス」できないのであれば、普段の生活の中に「旅行」を入れてしまえばいい。つまり、「圏外旅行」しているつもりになって、家で携帯電話のスイッチを切ってしまえばいいのだ。夜、家に帰ったら、もう圏外旅行に来たことにしてスイッチを切る。そして次の朝寝室を出てからスイッチを入れる。
でも、中毒のようになっている人や、習慣になっている人は、いきなり家で携帯電話のスイッチをオフにすることは、かなりのエネルギーが要るだろう。スイッチを切らない理由もいくらでも思いつく。
でも、まずは週末の夜、数時間程度から始めてみればどうだろう。少なくとも、寝るときに自室に携帯電話を持って入るのを止めてみてはどうだろうか。それが無理なら、布団に入った後、朝顔を洗うまではスイッチを切ってみる。
そうすることで、毎日の時間の使い方が変わる。時間の使い方が変わると、目にすることや手に取るものが変わり、目にすることや手に取るものが変わると、感じることや考えることが変わり、それが毎日続けば、人生も変わる。
もしどうしてもスイッチを切ることができない人は、とりあえず、スマホの音やバイブレーションの通知機能をオフにしたり、ホーム画面からフェイスブックやLINEのアプリを消去したりするところから始めてみてもいいかもしれない。
一度、家内「圏外旅行」を試してみたら、また違った生活が訪れたことを実感するだろう。
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