残業ゼロの社会

日本では、長時間労働やサービス残業が問題になっているようだ。

一月に残業時間が100時間を超えていたなどというニュースが流れると、ネット上では、「100時間くらいなんだ」とか「私など150時間オーバーをずっと続けていたこともあった」などというコメントが飛び交う。

また、残業時間が80時間を超えないようにします、というニュースが流れると、「これでサービス残業が増えるだけだ」というリアクションがある。

残業=がんばって仕事をしている、という考え方もまだまだ根強い。もちろん実際に一生懸命仕事して就労時間中に終わらずに、さらに頑張って仕事をしている人達もたくさんいらっしゃる。また、就労時間が長くなっても、集中して楽しんで仕事をしている人もいらっしゃるだろう。

でも、これだけ長時間労働やサービス残業が日本で問題になってきているのだから、一度試しに全く残業をしない試みをやってみるのもいいのではないか、と思う。

政府が法律の強化などで強制するのか、企業が自主的に取り組むのかは別として、ある時から一斉に全ての雇用主が、労働者に残業させないようにする。労働者は、定時がくればさっさと会社を後にする。

そんなことを、試しに一度やってみればいい。

ニュージーランドは、そんな社会だ。もちろん、全ての人が定時でさっさと帰るわけではなく、週に60時間、70時間働いている人もいる。でも、労働者として雇われている人達のほとんどは、時間がくれば仕事を終えて職場を後にする。

だから例えば、店が閉まる10分前に入店すると、「もうレジを閉めたので買い物はできません」と言われたり、道路工事に延々と時間がかかったり、放課後学校の先生と話をしようとオフィスに行ったらすでに帰っていたりする。

日本と比べると、いろんなことにものすごく時間がかかるし、とても不便なことも多い。

残業をゼロにするというと、ほとんどの人は働いている自分や家族のことを考えるだろう。でも、他の全ての人も残業がゼロになるのだから、今までスムーズに動いていたことが社会全体でスムーズに行かなくなることを予想すべきだ。

一度、みんなで残業ゼロ社会を試しにやってみて、日本でどんな社会が現れるのかを経験してみるのもいいと思う。

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