富士山に登ると富士山は見えない
日本で東海道新幹線をよく利用される方もいるだろう。
天気がいい日は富士山がきれいに見える。富士山がよく見えるほうに席を取るという人もいらっしゃるようだ。
そして、富士山が綺麗に見えたら、一度富士山に登ってみたいなと思う人も中にはいるだろう。
でも、富士山に登ると、当然だけれど、新幹線から見えていたようなきれいな富士山は見えない。自分が富士山の中に入ってしまうからだ。
綺麗な富士山を見るためには、富士山に登ることはできない。富士山に登ると、綺麗な富士山は見えない。
何かを全体から見ようと思えば、その中に入り込んでいては見えない。それに憧れてそれにどんどん近づいていくと、全体が見えなくなる。
逆に、遠くから眺めているほうが、全体としてどんな形をしているのか、どれほど美しいのかがよくわかる。
今、何かの中に入り込んでしまって、自分がどこにいるのか、全体がどうなってるのかわからない人は、きっと富士山の何合目かにいるのだ。
最初に感動した美しい富士山を見たければ、もう一度新幹線に乗るべきだ。でも逆に、富士山に登る目的があるのなら、最後までそのまま登ってみるべきだ。
自分は今どこにいるのか、それは全体のどこにあるのか、そして全体はどんな姿をしているのか。自分は今なにがしたいのか。
そういうことをいつも想像しながら、毎日を過ごしていく必要があるのかもしれない。
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