プライズギビングからNZの教育を考える
ニュージーランドの各学校では、Prize Giving (プライズギビング)という優秀者表彰式が学年末に行われる。
日本の高校1年生から3年生にあたるYear 11からYear 13の学年は、どの高校も11月上旬に行われ、日本の中学2年生3年生にあたるYear 9、Year 10の学年は12月上旬に行われる。
プライズギビングは学校によって内容が異なるけれど、ほとんどの学校では、スポーツ、文化、学業、リーダーシップなどの部門別に表彰が行われる。また、その年のハウスのコンペティションの総合結果の発表や、来年のプリフェクト(生徒会役員)の発表も行われる学校が多い。
学業では、英語、数学、理科、社会だけではなく、音楽、アート、体育、などの科目についても、優秀者が表彰される。
このプライズギビングを見ていて思うのは、ニュージーランドでは、英数理社などのいわゆる「主要教科」も、音楽やアートなどのいわゆる「副教科」も、同等に扱われるということだ。また、スポーツ、文化、リーダーシップなどで活躍、あるいは結果を残した人も、学業優秀者と同等に高く評価される。
これはおそらく、ニュージーランドの教育に対する考え方がそのままあらわれていると思う。
ニュージーランドでは、いろんなことができるのももちろんいいことだけれど、その人が持っている得意な分野を伸ばすことを主眼とする教育が行われている。
だから、ひとり一人の才能を学校や親が見つけて、それをどんどん伸ばすようにする。それが、英語でも数学でも理科でもいいし、ラグビーや水泳でもいいし、ダンスやドラマでもいいし、絵画や彫刻でもいいし、リーダーシップでもいい。
何か一つでも得意なものがあるのなら、学校も親もそれを見つけて伸ばそうとする。他のことが多少できなくてもかまわない。
そして、プライズギビングでは、そんな人の得意な部分を高く評価して表彰する。
こういう教育システムがニュージーランドにあるのは、おそらく国としてそんな人達を育てることが、ニュージーランドにとってプラスになると考えているからだろう。いろんなことがそこそこできる人もいいけれど、何か一つでも抜きんでた才能を持っている人。そんな人が、ニュージーランドを動かしていくのだ、という考え方。
それが、オールブラックスを生み、ロード・オブ・ザ・リングスを生み、今のニュージーランドの政治や経済を動かしている人達を生み、ニュージーランドの文化を生んでいるのだ。
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