バックパックをかついで旅してみよう
人生初めての海外旅行は、タイだった。
高校の同級生と二人でバックパックをかついで、バンコクまでの往復の航空券だけを握りしめて、後は何の計画もなく日本を後にした 。
日本を出発するタイ航空のバンコク行きの出発が数時間遅れるという、初めての海外旅行にしては大きなトラブルでスタートした無計画な旅。
行きたいところすべてに行けたわけではないけれど、いろんなことがあった。
夜遅く到着したバンコクの駅で見知らぬ人に助けられた。アユタヤのお寺で若い修行僧と話をした。シンガポールのホテルの部屋にいきなりかかってきた電話で知らない日本人と友達になった。プーケットでバイクを借りて夕日を見に行った帰りに真っ暗な中で道に迷った。ホテルのシャワールームにヤモリがいた。短い距離だからと交通費をケチッて東南アジアの炎天下を歩いてダウンした。屋台で買ったコーラの底に蟻がいた。帰りに空港に行くバスを早めに降りてしまって長い道を歩いた。
全く知らない人と出会い一緒に笑いながら数時間を過ごし、全く知らなかった場所に行き、それまでに見たことがなかったものをたくさん見た。予想を超えることばかりが起きたけれど、とても楽しくて、その後の人生を大きく変える旅だった。
人生は長い旅だと言われる。
もしそうであるならば、人生も、すべてがお膳立てされたパッケージツアーよりも、航空券だけを握りしめて旅立つバックパックの旅が面白いと思う。
予想外のことが起こったり、見知らぬ人とであったり、人に助けられたり、とぼとぼ歩いたり、体調を崩したり、コミュニケーションが難しい中で一生懸命話をしたり、道に迷ったり、嫌なことがあったり、驚いたり、計画している通りに行かなかったり。
そんな旅、そんな人生のほうが、振り返ったときにとても印象に残るし、そこから学び、成長する経験もたくさんする。
今十代や二十代の人たちは、バックパックをかついで人生を旅してみるのもいいのではないだろうか。
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