嫌ならやめる、でいいのか?
先日のこのブログ「はずれのホームステイ?」でも書いたけれど、「もし(留学生かホームステイファミリーの)どちらか、あるいはどちらもが、合わないと感じたならば、すぐに「はずれ」だなどと切り捨ててしまわずに、まずは少しでも合わす努力をしてみるのがいいだろう。それでもうまくいかない場合には、ステイ先を変わることも考えてみるのがいい。」
弊社では、今までにたくさんのホームステイを見てきた。このホームステイならこの留学生に合うだろう、とか、これほどいいホームステイは数があまり多くない、というのは、情報を見たり、何度か訪問したり、ホストに会えば、おおよそわかる。ただ、実際に毎日暮らしている留学生の感じていること、見ていることはまた違う部分があるので、一概には言えない。
もし留学生がホームステイを変わりたい、という時には、まずは留学生とゆっくりと話をして、その後ホームステイファミリーや保護者の方と話をして、最終的に「その留学生にとって最もいい選択」を選ぶようにしている。
留学エージェントの仕事として考えると、「わかりました、ではすぐに変えましょう」と新しいステイ先を学校に探してもらうほうがはるかに楽だし、そういう留学エージェントさんもいると思う。また、「そんなややこしい手続きは不要だから、本人が変えたいと言えば、とっとと変えてくれればそれでいい」とおっしゃる親御さんもいるだろう。
でも、それでは、「自分が何か嫌なことがあれば、周りの大人に言えばすぐに変えてくれる」という経験を一つ、留学生がすることになる。
弊社では、留学中のいろいろな経験からいろいろなことを学んで成長していただきたい、と思っている。ホームステイもその経験の一つだ。
だから、最終的にホームステイを変わることになるとしても、留学生自身も周囲の大人達と今の状況についてよく話をして、問題点を明確にし、関係する人達の言うことにも耳を傾けて、自分の希望を通すために、関係する全ての人達がどのように考え、どのように動くのか。そういったことを見て、聞いて、経験するのがいいと思う。
留学生がそんな経験をすることによって、自分の希望を通すときには、どういったコミュニケーションが必要で、どういった順序で、どういった言葉を使い、どのように話を通して、最終的に全ての人ができるだけHappy になるようにするにはどうすればいいのか、ということを少しは学ぶことができるだろう。
その過程を飛ばして、周囲の大人達が「ホームステイが嫌なの?じゃあ、変えましょう。週末には新しいステイ先の人が迎えに行きますね。」と全てお膳立てをしてしまうのは、本当に留学生のためになるのだろうか、と思う。そういう周囲の大人達の行動は、せっかくの経験のチャンスを、留学生から奪っているのかもしれない。
もちろん、安全や健康が脅かされたりする場合は、緊急処置も必要だろう。でもそんなことはまれだ。
ホームステイだけではなく、留学中のいろんな経験から、留学生はいろんなことを学ぶ。周囲の人達を動かすときには、どんなプロセスやコミュニケーションが必要で、自分はどのように動き、どんな言葉を使えばいいのか。そんなことを学ぶチャンスが、留学中にはたくさんある。周囲の大人達は、面倒くさがらずに、留学生がいろんな経験をするチャンスをできるだけ奪わないようにするのがいいと思う。
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