自分の環境を否定する留学生は

留学を始めたばかりの人が、自分の環境をことごとく否定することがある。

「ニュージーランドは外食が美味しくない」「ラグビーの練習の時間が短すぎる」「ホームステイマザーがとても細かいところまでいろいろ言う」「学校の生徒達が変なことをする」などなど。

確かに、言っていることは事実なのだろう。

でも、留学生活で起る出来事を否定ばかりしている人は、ほんとうはそれが一番言いたいことではない。

今までの日本での自分の生活と全く異なる環境にきて、それがなかなか受け入れられず、日本での生活の心地よさを思いだし、今までとの違いを強烈に感じ、その違いが突き刺さるように自分の中に入ってくる。

その痛みをなんとか阻止しようとして、否定してしまう。

そんな人達は、今までと全く異なる環境を否定することで、バランスを取っているのだ。

異なる環境をそのまま受け入れてそこで過ごすということは、言い換えれば、今までの環境に適応していた自分を一旦壊すということだ。少なくとも、部分的にはそんな作業が必要になる。

今までの自分を部分的にでも一旦壊すという作業は、時にはとても大きな痛みを伴うし、直感的にとても怖い。

だから、そんな痛みや恐怖心を避けるために、今いる環境を否定して、今までの自分を保とうとする。

でも、いくら環境を否定し続けても、留学生活の環境は変わるわけではない。だからしばらくすると、変わらなければならないのは自分自身であることに気づく。自分を部分的にでも一旦壊して、今の環境を受け入れるところから始めるべきことを理解する。

留学を始めたばかりの人が周囲の環境を否定するのは、時にはそんな理由もあるのだ。

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