ネットでつながるのを止めてみれば
弊社が最初のウエブサイトを立ち上げてから10年が過ぎた。
この10年余り、留学生の環境で一番変わったのは、インターネットだろう。
10年前には留学に来る人達に、「ニュージーランドはダイアルアップ回線のところもたくさんあります。容量制限もあるので、ステイ先で自由にネットを使うのは難しいです。ただ、町にはインターネットカフェがたくさんあります。」などとお伝えをしていた。でも、今ではほとんどのステイ先にはブロードバンド回線があり、Wifi でネットに接続ができる。もしネット環境が悪くても、プリペイドのポケットWifi を購入すれば、iPod Touch でもネットに接続ができる。
このネット環境の変化とともに、留学生達のネット接続時間も確実に増えてきた。一時期は、語学学校のパソコンルームに行ったらその半数以上がmixi のオレンジ色の画面だったこともあったが、今ではみんな自分のスマホかタブレットでLINEやフェイスブックをしている。
留学生が日本からステイ先に到着したときにも、ネットにさえ接続できれば、自分で日本の親御さんに連絡ができるし、頼みたいことがあればいつでもその場で家族に連絡ができる。その上、親御さん達は日本にいながら、子ども達の様子をフェイスブックなどで見ることもできる。
ところが先日、高校留学生の一人の親御さんが、「しばらくはフェイスブックで子どもとつながるのを止めます」とおっしゃって、実際にネットでつながることをそれまでよりも少なくされた。
今まで簡単につながっていた便利なものを止めるのは、ネットに限らずとても勇気のいることだし、エネルギーを使うことだ。でも、せっかく遠いニュージーランドに留学に来ている学生といつも簡単にネットでつながって、その様子が手に取るようにわかる、というのは、私も何かが違うように思っていた。だから、その親御さんの決断はすばらしと思う。
また、知ろう思えば知ることができる環境では、知らなくてもいいことを知ってしまうことも当然ある。心配を減らすためにネットでつながっているはずが、ネットで様子を知ることで余計に心配が増えてしまう。それならば、ネットでつながる時間を減らすというのも、一つの選択肢だろう。
ここ数年で急激に変化した留学生のネット環境。使える便利なものはとりあえず全て使うというのではなく、それぞれの留学生と親御さんに合った方法で、うまく使いこなしていく、あるいは使わない、ということを、留学前に家族で真剣に考える時代が来たのではないか、と思う。
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