変態でもかまわない

今日の日本の新聞に、「「変態」の意味あったので…近大、英語表記変更」という記事が掲載されていた。「近畿大はこれまで「KINKI UNIVERSITY」としていた英語表記を、「KINDAI UNIVERSITY」に変更すると発表した。 「KINKI」とほぼ同じ発音の英単語「KINKY」が「異常な」「風変わりな」といった意味合いで使われており、大学の国際化を進めるに当たって誤解されないようにするため、と説明している。」とのことだ。

日本の大学が「国際化を進めるに当たって誤解されない」ために大学名の表記を変える、というのも珍しいと思うが、国際化ということを中心に考えている、という意味では「いいニュース」だと思う。

ただ、国際化を考えるときに英単語だけを考えているように思えるのが、少し引っかかる。確かに、今は英語は国際標準語と言えるだろうし、複数の言語を使う人たちが集まれば、特別な理由がない限り英語を共通語として話をすることが多いだろう。

でもこの場合は大学の表記の問題だから、英語を第一言語としない人たちや地域で表記されることも、やはり考慮する必要もあると思う。簡単に言えば、英語以外で「KINKI UNIVERSITY」の表記は問題はないのかも考えるべきだろう。フランス語、ドイツ語、中国語、そしてマオリ語など、いろんな言語でどういう意味に使われているかを調べる必要がある。でもそんなことをすると、どんな日本の単語でも、どこかの言語でちょっと変わった意味に使われていることも出てくる。そうであるならば、例え英語で「変態」の意味に近い音でも、気にせずに使うという選択肢もあると思う。

「学長は大阪市内で開いた記者会見で、「『変態』の意味もあり、海外の会合で自己紹介すると笑われることがある。」とおっしゃっているようだが、他国の大学名を聞いて、その音が自分が使う言語で変わった意味に使われているという理由でそれを笑う、などというのが、全く礼を失しているのであって、人に笑われるなどということは全然気にしなくてもいい。また、「誤解されないようにするため」という理由だけれど、KINKI UNIVERSITYと聞いて「「KINKY」な大学だ」と誤解する人がいるとも思えない。

そもそも「KINKI」は、日本の一地域の呼び名で大学名にだけ使われているわけではないから、誰になんと言われようが笑われようが、誇りを持って使う、という選択もあったと思う。

大学の国際化を進める、という方向はとてもいいことだと思うけれど、国際化と言えばとりあえず英語、という感覚に少し違和感があるし、自国の言葉や文化に誇りを持って表現する、という強さがもう少しあってもいいのではないかとも思う。

YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140521-OYT1T50010.html?from=tw

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