合計得点はおかしい
おそらく今も私の時代と変わっていないと思うけれど、日本の中学、高校、大学などの入学試験では、受験したいろんな科目の得点を合計して、その合計点数で入学の可否を判断することが多いと思う。
でも、これは考えてみれば少しおかしい。例えば、200点満点の英語の得点150点、200点満点の数学の得点120点、そして100点満点の国語の得点60点の合計は500点満点の330点。英語が100点、数学が180点、国語が70点の合計は350点。後者のほうが合計得点が20点高いので、合格する可能性は高くなる。
でも、英数国がそれぞれ、150点、120点、60点の人と、100点、180点、70点の人では、持っている能力やスキルが大きく異なるのは明らかだ。
入学試験の英語の得点と数学の得点と国語の得点を足した合計得点から、受験生の何がわかるのだろうかと思う。全く異なる科目で全く異なる試験を課し、その得点を単純に合計することで、逆に、個人個人の受験生の能力やスキルが見えなくなっているのではないのか。
日本では昔からあたりまえのように行われてきているこの方法。でも、少し考えて見れば、各科目の得点を合計する意味がよくわからない。
例えば、ニュージーランドの大学の入学の可否は、基本的には高校の時の成績を元に判断される。ただ、合計されるとすればそれは「取得単位数」で、異なる科目の「得点を合計する」という方法はとられていない。
そもそも学年の途中や最後に出る成績は、各科目ごとの先生からのコメントと取得単位数がメインで、試験の得点は記載されていないことが多い。もちろん、試験や提出物の評価が高い学生は高い評価を得ることができるけれど、最終の評価は「得点」ではない。つまり、それぞれの学生の各科目の到達度に応じた評価がなされている。そして、その到達度が大学・学部の入学基準に達していれば、原則として入学が認められる。
考えてみればあたりまえのことだけれど、大学が求める学生の学力やスキルがあって、その学力やスキルを持った学生が入学申請すれば、入学が認められない理由はその学生にはない。認められないとすれば、入学定員に対して志願者が多い、という学校側の理由だ。そして、その学校側の理由によって、異なる科目の得点を合計して得点の高い学生から入学を許可する、という方法がとられているのだ。やはり考えて見ればこれは少しおかしい。
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