ポジション争いから降りてみると可能性が無限に広がる

子どもの頃、周りの大人から「大きくなったら何になりたいの?」とよく聞かれた。「パイロット」「学校の先生」「野球選手」などその時の気分でいろいろと答えていた。

今の小学生はそんなことはあまり聞かれないのかもしれないけれど、中学、高校と年齢が上がるにつれて、将来どんな仕事をしようか、と具体的に考えるようにはなるだろう。

自分がどんな仕事をしたいかを考える時、ほとんどの場合は自分の適性や興味、スキルなどを元に考えるだろう。子どもが好きで人に教えることが得意な人は学校の先生、コンピュータに興味のある人はIT関係、スポーツができる人はプロスポーツ選手、などだ。

そして自分がしたい仕事に向けて、学校で専門分野をさらに勉強したり、資格を取ったり、トレーニングを積んだりする。

問題はその後だ。勉強して知識を身に付け、資格を取り、スキルアップした後、仕事を探す。具体的には、採用試験を受けたり、求人に応募したり、トライアルを受けたりする。言い換えると、世の中に出ている求人=ポジションに応募する。

でも、あたりまえのことだけれど、例えば日本で一年間に出ている求人、つまりポジションには限りがある。学校の先生にしても、IT関係の仕事にしても、プロスポーツ選手にしても、その年に出ているポジションの数は決まっている。

だから、小さい頃から自分の適性や興味、スキルなどを元に仕事を選んで、何年もかけて学校で専門知識を身に付け、資格を取り、スキルを伸ばしても、仕事に就くそのタイミングでポジションが市場に出ていなければ、希望の仕事はできない。

特に、新卒一括採用などという世界的に珍しいシステムの日本で仕事をする場合、自分が卒業する年に、自分がやりたい仕事のポジションの数より求職者の数が多ければ、誰かは必ずあぶれる。そして、一度ポジションにつけなかった人は、その後希望の仕事に就くことは日本では難しい。なぜなら、日本は新卒一括採用システムが幅をきかせているからだ。

だったら、自分の適正や興味、スキルで仕事を選ばずに、仕事の市場をよく見てそれに合ったスキルを身に付ける、という方法もある。けれど、今のように時代の変化が早いと、うまくいかないことも多いだろう。

では、どうすればいいのか。方法は二つある。

一つは、さらなる求人=ポジションを求めて、海外に出ることだ。日本の求人数は限られているけれど、世界に目を向ければ、自分の適性や興味、スキルに合ったポジションが必ずあるだろう。また、世界の求人市場は、新卒一括採用のシステムではないので、いくつになっても、どんなタイミングでも、ポジションが得られる可能性はある。

もう一つは、市場に出ているポジションに応募するのではなく、自分で自分の仕事を作り出すことだ。簡単に言えば、起業だ。世の中に出ている求人=ポジションを他の人と取り合いをするのではなく、自分の適性や興味、スキルに合った仕事を自ら作ってしまえばいいのだ。そして、起業は日本でも海外でもできる。自分が起業をすれば、世の中に新たにポジションを作り出し、そのポジションに誰かが就くこともできる。

どちらの方法にしても、日本という狭くて限られたチャンスしかないポジション争いから降りてみることが大切だ。

「そんなこと、できるわけがない」とおっしゃる方もいるだろう。でも、私自身もそうだけれど、私の周りにはそんな人がたくさんいる。やってみれば、考えているよりも難しいことではない。

日本の中での限られたチャンスのポジション争いを止めて、世界中のポジションにアプライしたり、日本や海外で起業したりする。そんなこともできるのだという感覚を、子どものうちから海外に出て身に付けておくのも、これからの時代には必要だと思う。

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